Kudryavka Niimiが適当に喋る感じのあれ。

ネットワークエンジニア見習いの日常系ブログです。鉄道や野球や漫画アニメとか、趣味関係の話が多めになる予定。

非日常。

 俺はしがない大学生。名前は…名乗るほどの者ではない。ちょっとカッコつけてみようと思ったが、書いてから別にカッコよくないことに気付く。むしろ、恥ずかしくなってきた。つまり俺は、ちょっと友人が少なく、取り柄もない、一介の学生なのだ。
 
 
 今日は月曜日。時刻は14時00分。月曜日の講義は、2時限目までだ。12時15分には講義が終わる。
 講義終了後は10分くらい教室で友人とだらだらして、生協の前でポケットティッシュをもらってから電車に乗るのが常だ。日ごろから友人がいないと言っている俺だが、そのくらいの友人はいる。極端に狭いが、小市民としての最低限度の交友関係はあるのだ。
 そして、電車に乗って地元の駅まで帰ると、2軒のB○○KFFをハシゴすることが多かった。普段なら、今頃は一軒目のB○○KFFで立ち読みをしている時間だ。
 
 
 しかし今日、地元のB○○KFFに俺の姿はない。そんな悠長なことをしている場合ではないのだ。それは、ある目的の為。先週の火曜日から、ちょいと厄介な“捜し物”をしなければならなくなったのだ。これまでも、何度となく“捜し物”をしてきたが、今回は長期戦になりそうな予感がする。
 今日の俺は、講義が終わると真っ先に教室を飛び出し、電車に乗った。目的地は地元の駅ではない。定期券の効力を発揮し、毎日通学中に通過する駅である、登戸駅で下車する。私鉄とJRの乗換駅というだけあって、昼間でも、混んでいるというほどではないが、それなりに人がいた。小田急線の改札を横目に登戸駅を出ると、その高架化された線路に沿って歩く。しばらく歩くと、小田急の線路は地面レベルまで降下し、道路と交差して踏切を形作っていた。その奥には、向ヶ丘遊園駅が見える。
 向ヶ丘遊園駅とは名ばかりで、名前の元となった向ヶ丘遊園は10年前に廃園になっている。まあ、駅名は芸能人の名前のようにころころ変えられるものではないのだろう。学芸大学駅都立大学駅都立家政駅なんていうのも、学校自体は移転したり、改名したりして、既にその名前の学校は存在していない。やはり、駅名は簡単には変えられないのだ。
 しかし、東京スカイツリー駅やさぬき高松うどん駅などの例もある。要は、儲かる改名しかしないということなどだろうか?あれ、さぬき高松うどん駅高松駅の愛称だったっけか?
 
 
 そんなことを考えているうちに、目的地に到着した。時計の針は14時丁度を指していた。もっとも、俺の腕時計はデジタルなので、針など存在しないのだが。
 とあるビルの一階。そこが俺の目的地だ。ビルに入る前に、周囲に誰もいないのを確認し、ドアの前に立つ。静かに自動ドアが開くと、ここ一週間、毎日のように、飽きるほど聞き続けた言葉が。
「いらっしゃいませ!」
 その声を無視し、俺は奥へと入っていく。奥では既に、数人の男が文献を調査していた。そんな同志の声もかけず、隣に並んで調査を開始した。
 俺の“捜し物”は、そう簡単に見つかる筈もない。この一週間、あちこちに場所を変えては文献調査をしてきたが、これといって手掛かりを掴むことは出来ないでいた。
 どうせここでも、ろくな手掛かりは掴めないだろう。そう思っていた時、俺は見つけた。
 俺の“捜し物”の重要な手掛かりを。
 いや、まさしく“答え”ともいうべきものを。
 俺は、その手柄を横取りされないよう、少し目を通しただけでその文献を片手にレジへ。
 なんと、俺の“捜し物”は105円で決着がついたようだ。
 急いで家に帰ると、前頁、注意深く読み進めた。そして、最後の頁を開いた俺は愕然とした。最後に書かれていたのは、
<つづく>
 の3文字。そんな馬鹿な。そう思い、表紙を見ると、タイトルの後ろには確かに“上”と書かれていた。途轍もない脱力感に襲われる。
 やはり、そう簡単な“捜し物”ではないようだ。俺は大きく息を吐くと、パソコンを立ち上げ、次に文献調査をすべき場所を探し始めた。
 俺の“捜し物”は、まだ完結しない。
 
否、日常。に続く